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====== ふと思うこと ====== デッサンについて、日頃おもっていることや、ふと意識したこともふくめ、ノンジャンル的に書きます。うまいこと量がたまってきたら、まとめるかもしれませんが。 ===== 質を描く ===== 色鉛筆の多色セットを買うとかならず入ってる、金色と銀色。あれを使ったことありますかね。あれで自転車の絵を塗っても金にも銀にもならないなあっていう謎現象、小学生くらいのころに経験しているひとも多いんじゃないかと思います。 金色も銀色も、ただの顔料でしかないのです。描くテーマ(ストーリー)と顔料(メディア)とはそもそもまったく次元のちがう話。たとえばりんごを描くとします。スーパーでりんごを買ってきて、これをすりおろして紙にこすりつけても、りんごの絵にはなりません。自画像を描くとき、紙に顔をこすりつけるひとはいません。同じように、金を描こうとするとき、金色の顔料をこすりつけたって、金にはならないのです。 いっぽう、赤・青・黄色は、色です。色を描こうとするなら、その色の顔料をつかえばOK。つまり、金は色ではないのです。金は質であり状況でありストーリーです。質は特定の顔料だけでは描けません。さまざまな状況によってその表情も変わるし、その表情からその場の雰囲気も伝えることができます。質をしっかり観察して適切に描くことで、そこにストーリーが宿ります。 何かの質を描こうとするとき、万能に使えるテクニックやセオリーは存在しません。金属やガラスを描くときはこうする。布や肌のような柔らかいものはこういう鉛筆をつかう、のような説明を安易に信用してはいけません。 ===== 表現に近道はない ===== 絵を見るとき、紙に付着した顔料を視覚的にみて、脳内で処理したのちに認識になって、過去の経験や知識と結びついて、感慨や感動になります。なので、自分が絵を描く側に立つとき、すぐに思いつくのはいかに効率よく顔料を配置していくか。という表面的な視点から入ってしまいがちです。 しかし、本来絵は制作者と観覧者とのコミュニケーションのツールであって、紙や顔料はそのメディアでしかないのです。制作者がこだわるべきは顔料などのメディアではなく、メッセージそのものであるべきです。この前提が狂ったままのコミュニケーションは不可能です。 どうやって描くかを掘り下げるとき、どこに線を引くか?濃さは?強さは?など、メディア方向へ掘り下げるのではなく、何をテーマに描いているのか、スプーンの何を伝えるのか、硬さ?長さ?おもさ?におい???? それがビジョンへの入口だと思います。ビジョンがあれば、そのビジョンと、目の前にある自分の絵とがどうちがうか、何が足りないか、を評価できます。 描き方のメディアに関する問いは、そのビジョンとの差を埋めようとする過程で、自然と自分の中から出てくると思います。 ===== モノマネに例えると ===== デッサンに於いてモチーフがもつ それっぽさ をどう画面上に宿すか。見たひとが、そうそう!、って 直感できる表現 こそがデッサンが目指すべき方向性だと考えます。この点においてはデッサンはモノマネに似てるかなと思ったのです。 ひとが誰かのモノマネをするとき、演じる本人とは別の霊をその身に宿すべく、対象の人物の ──それっぽい── 雰囲気が醸し出される状況をつくろうと工夫します。どんな表情か、どんなしぐさか、どんなセリフか、どんなスピードか、、、。それらの工夫は決して機械的なコピーではなく、人間にしかなし得ない ──演出── が多分に含まれます。オーバーなデフォルメであったり、いさぎよい切り捨てであったりもします。 デッサンにも同様のことが言えるように思います。対象をカメラで撮るように、明暗やシルエットをコピーするだけでは表現としては不十分です。そこには人でしか造り得ない 演出 が盛り込まれることで らしさ が宿ります。暗いところを暗く描くだけでなく、淡くおぼろげに描いてみたり、鋭い躍動感のある形態を実際の明度差以上の強コントラストで描いてみたり、強い眼差しを支える後頭部の影を重厚感を以て押さえてみたり。そういう 表現と演出 はデッサンに於ける必須要素で、クリティカルで的確な表現を見出すには、徹底的な観察とここから生まれる洞察が必要です。
column/start.txt
· 最終更新:
2022/01/06 18:28
by
atnmn
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