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ふと思うこと

質を描く

色鉛筆の多色セットを買うとかならず入ってる、金色と銀色。あれを使ったことありますかね。あれで自転車の絵を塗っても金にも銀にもならないなあっていう謎現象、小学生くらいのころに経験しているひとも多いんじゃないかと思います。

金色も銀色も、ただの顔料でしかないのです。描くテーマ(ストーリー)と顔料(メディア)とはそもそもまったく次元のちがう話。たとえばりんごを描くとします。スーパーでりんごを買ってきて、これをすりおろして紙にこすりつけても、りんごの絵にはなりません。自画像を描くとき、紙に顔をこすりつけるひとはいません。同じように、金を描こうとするとき、金色の顔料をこすりつけたって、金にはならないのです。

いっぽう、赤・青・黄色は、色です。色を描こうとするなら、その色の顔料をつかえばOK。つまり、金は色ではないのです。金は質であり状況でありストーリーです。質は特定の顔料だけでは描けません。さまざまな状況によってその表情も変わるし、その表情からその場の雰囲気も伝えることができます。質をしっかり観察して適切に描くことで、そこにストーリーが宿ります。

何かの質を描こうとするとき、万能に使えるテクニックやセオリーは存在しません。金属やガラスを描くときはこうする。布や肌のような柔らかいものはこういう鉛筆をつかう、のような説明を安易に信用してはいけません。

column/start.1596156342.txt.gz · 最終更新: by atnmn